これが実態か。
とある会社の応接室でデューデリを始めて1時間。
資金繰りの悪化を招く原因の一端を垣間見た。
売上総利益(粗利益)段階で赤字ならともかく、
粗粗利益(付加価値)段階で赤字なのだ。
つまり、材料費と外注加工費の合計が販売価格を
上回っている状態、お客様への奉仕価格を通り越して
「贈与」となっている。
これはひとたまりもない。
こんなことを続けていると資金繰りに行き詰るのは
時間の問題である。
では、何故こんな受注を黙認するのか。
営業部の売上至上主義と経営者の工場を回すためとの
言い訳が返ってきた。
全くもって論外である。
付加価値とは、売上から材料費、外注加工費等の外部調達費用
を差し引いた残りの金額であり、自社の人、物、金でどれだけの
価値を生み出すことができるかという指標になるものであるが、
戦う前にすでに奉仕しているのである。
せめて判断するのであれば、粗利益段階である。
販売管理費の削減等で将来、営業利益を出せる自信があるの
であれば、受注するかどうかは経営者の判断である。
分水嶺を間違っては存続はありえない。
がしかし、営業部からは特定の受注が赤字でもトータルで黒字なら
構わないのではないかとの反論が返ってくる。
よくあることだ。
そして得てしてそれらの受注は長続きしないか、最終的に赤字に
追い込まれるのである。
相手も商売だ。
時間をかけて採算案件を値切ってくる。
生産量を糧に、あるいは資金繰りの足元を見ながら、冷徹に。
この辺の所を経営者自身が徹底できるか、最初が肝心である。
値引き体質が染みついた企業は生き残れない。
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