消滅時効は、権利を行使することができる時から進行する(166条1項)。権利行使ができないのに、時効だけ進行するというのは適当ではないからである。
「権利を行使することができる時」とは、権利行使について法律上の障害がないことを意味する(大判昭12.9.17)。
期限(始期)が付いている債権は期限到来の時、条件(停止条件)付きの債権は条件成就の時から時効が進行する。
不確定期限の場合であっても、債務者が期限の到来を知ったかどうかにかかわらず、期限到来の時から時効が進行する。(412条2項)
民法170条から174条までに規定する債権については、すぐに請求または履行がなされるのが通常であり、また、証拠書類の作成や保存が期待できないからという理由で、3年、2年または1年の短い時効期間が定められている。これらは、短期消滅時効と呼ばれる。
(1) 3年の短期消滅時効
① 医師の診療・助産師の助産・薬剤師の調剤に関する債権(170条1号)
② 工事の設計・施行・監理を業とする者の工事に関する債権(同条2号)
③ 弁護士・弁護士法人・公証人がその職務に関して受け取った書類の返還義務(171条)
(2) 2年の短期消滅時効
① 弁護士・弁護士法人・公証人の職務に関する債権(172条)
② 生産者・卸売商人・小売商人が売却した産物・商品の代価に係る債権(173条1号)
③ 自己の技能を用い、注文を受けて者を制作することを業とする者、または、自己の仕事場で他人のために仕事をすることを業とする者の仕事に関する債権(同条2号)
④ 学芸・技能の教育を行う者が生徒の教育・衣食・寄宿の代価について有する債権(同条3号)
(3) 1年の短期消滅時効
① 月またはこれより短い時期で定めた使用人の給料(174条1号)
② 自己の労力の提供を業とする者、または演芸を業とする者の報酬またはその供給した物の代価に係る権利(同条2号)
③ 運送賃に係る債権(同条3号)
④ 旅館・料理店・飲食店・貸席・娯楽場の宿泊料・飲食料・席料・入場料・消費物の代価または立替金に係る債権(同条4号)
⑤ 動産の損料(レンタル料のこと)に係る債権(同条5号)
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