a0960_006095社長、契約取れました。

おお、良かったなぁ。

ところで、相手方はどんな会社なの。

はい。ホテルを経営していてそこでイベントがありうちの商品を是非扱いたいとの事です。

与信は。

いえ、まだ調べてないです。

ちょっと待てよ。

誰かの紹介?

いえ、電話での問い合わせがきっかけで直接会って話しました。

そうか。

一瞬、胸騒ぎがした。

業績が低迷し出すとそこに付込む新手の詐欺集団がいるとの噂が脳裏を横切った。

でも、社員のB君にとって初めての大型契約でもあるし、ここは現金取引で決済をだした。

1ヵ月後B君から、A社なんですが、お宅の商品が一番いいから発注を集めるので掛けで

売ってくれないかと言うのです。

しかも明日納品しないとイベントに間に合わないそうなんです。

どうしましょう。

決断に困った。

取り急ぎホテルの評判を聞き、与信を設けるからそれまでなんとか引き延ばしてくれと言った。

次の日早速ホテルへ出向いた。

な、なんと。

営業していないではないか。まるで廃墟だ。

その足で法務局へ向かった。

登記簿謄本を見ると確かにA社の所有だ。

でもなんだか変だぞ。

B君に電話し、そこのところを問いただした。

はい、改装中でイベントにあわせてリニューアルするそうです。

そういうことか、だがなんとなくしっくりいかず、納品は現金にしてもらいなさいと言った。

社長、すいません。自分が責任を持ちますから掛けでやらせてください。

というより、間に合わないと言うのですでに納品しました。

かなりの金額だった。

来月契約どおり入金があればいいけど。

月末が来た。銀行口座には3時を過ぎても入金がなかった。

すぐにB君を呼び出し、相手方に連絡を取らせた。

もうちょっと待ってくれというのです。

どういう理由で?

それが不渡りをくらったからとかでお金がないと言うのです。

埒があかないのでB君を伴って相手先へ出向いた。

見るからにペーパー会社。机と椅子が2組くらい。

受付の女の子はどこかヤんキーの様相。

眼光のするどい若衆が3,4人。

完全にヤクザだ。

ここは暴力団の事務所か?

しばらく待たされて、お前が社長か。

はい、そうですが、あなたは?

俺か、専務のTだ。

売掛金の決済がなかったので来たんですが。

どうなっているのですか。

俺も良く分からないんだよ。

経理部長のSが勝手に商売してて不渡りをくらったとかで今いないんだよ。

あなたはここの専務でしょ。払ってくれませんか。

気持ちはわかるが払えないものは払えない。

さぁ、どうする。

社長に会わせてください。

社長は女だよ。

名義だけ借りてるだけだから。

30分くらい粘ったが、のらりくらりと言い訳するばかりで埒があかなかった。

翌日、一人で出向くと事務所はもぬけの殻だった。

やられた。

取り込み詐欺だ。

1ヵ月後、県警から刑事がやってきた。

社長さんですか、今大規模な詐欺事件を捜査しているのですが、

Sを別件で逮捕したときに(覚せい剤取締法違反)お宅の商品も仕入していたと自供

したものですから。

あの有名なG組の組員だった。Y組でも武闘派として知られ、経済ヤクザの素質も

兼ね備えているとのことだった。

あぁ、完全にはめられた。

日頃、注意に注意を重ねていたけれど、相手が一枚上だった。

B君をフォローしないと立ち上がれないな。

業績が傾き出したら、特に用心すべきだ。売上がほしいばかりに脇が甘くなる。

これも道か。

経営者である自分がいけないんだ。

しっかりせねば。

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