事業承継とは、会社の経営を後継者に引き継ぐことを言うが、中小・零細企業の経営に当たっては
オーナー経営者の経営手腕や長年の信用による部分が大きく、誰を後継者に指名するかは重大な
関心事である。従業員や取引先など関わる全ての人の人生がかかっている故、慎重に事を進める
必要がある。
事業承継の方法には大きく分けて3通りの方法がある。
ひとつは親族に承継する方法、二つめは従業員に承継する方法、三つめはM&Aによる承継である。
近年、親族外承継が増加しているのも時代の流れであろうか。誰しも安定した生活を送りたいのが
人情であろう。
敢て困難な事業経営という道を選択する若者は年々少なくなっている。先が見えない時代だからこそ、
益々その傾向は大きくなっていくように感じられる。
したがって、第二・第三のケースが増えているわけだが、買収の価格(通常は純資産価格+税引き利益
の3年分位)交渉はもちろん、買収査定(デューデリジェンス)をしっかりやって簿外債務やリーガルリス
ク等の有無を冷静に判断しなければならない。
また、従業員承継の場合は買収金額を用意できないのが通常であることから、他から資金調達してくる
かオーナー社長と話し合いで毎月の分割払いにしてもらうなどの方法を検討する必要がある。
M&A承継の場合は清算価値と買収との定量的な比較から買収による方法がメリットがあることが前提
となるため、買収査定の重要性は言うまでも無い。
いずれによる方法を選択するにしても、会社は「生き物」であり、日々刻々と会社を取り巻く環境は
めまぐるしく動いている。その中で、会社の価値を落とすことなく従業員の士気や取引先などの協力
を得られるように実態に即した設計が求められるであろう。
人的承継や物的承継(株式の移転)には税金や法律など様々な角度から分析し、ベストの状態で判断する
ことが求められる。
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